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「綺麗…でも怖い。」
ピアリが呟くように言った。
「そうですね。気味の悪い場所ですね。」
ソノも馬の速度をわずかに緩めた。だが脚を止めることはない。
…早くセレのもとへ…
ソノは、オーリの命令を遂行する為に。
ピアリは、ただ会って無事を確かめたい想いで…。
一歩、光の中に脚を踏み入れると空気感はガラリと変わった。
青白い輝きも先程とは違い決して冷たく不安なものではない。むしろ包み込まれるような安心感を感じた。
数歩、進んだところで声が聞こえた。
「ピアリ! そこにいるのはピアリか?!」
…この声…
ピアリの心臓が跳ねた。
「セレ!」
2人の到着を感じ取って、セレが洞窟から出て来てこちらを見ていた。
ピアリは馬から滑るように降りると駆け寄った。
「セレ!何があったの?大丈夫なの?」
「ああ。捕まって連れてこられたんだけど、とにかく今は大丈夫だよ。それより、ピアリどうしてここに?」
「『どうして』ですって??」
一気にピアリに怒りの炎が燃え上がった。
「夕方には帰るって言ったくせに帰って来ないからでしょう!全然連絡も取れないし!あなたが心…」
『心配』と言いかけてピアリは口をつぐんだ。
セレの事が心配でたまらなかった、とは恥ずかしくて言えない。
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