第4章 セレ

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その頃、浅黒い肌の少年クメルはアーリンの農園にいた。 その農園では『ソグ』と呼ばれる植物を栽培している。 農園を管理しているのは魔法使いの姉妹、エメルとネフル。エメルは火、ネフルは水の魔法を使える。2人でこの農園の温度や湿度を常に調整している。 おかげで『ソグ』は青々と大きな葉を繁らせていた。 「そろそろこの辺のは刈り入れできるわ。」 「うん、良く育ってる。アーリン様が喜んで下さるね。」 2人が笑顔で話しているところに、クメルが来た。 「エメル姉さん!ネフル姉さん!」 いつもと違う様子のクメルに2人は『何かが起こった』事を感じた。 「あら。」 「どうしたの、クメル?」 エメルとネフルは、クメルの姉達だった。 「大変な事が判ったんだ!」 クメルは2人を手で呼び寄せ、耳打ちした。 「この『ソグ』って言う植物は猛毒なんだ!」 「…えっ?!」 「まさか…だって私達は何ともないよ。」 2人の姉はもちろんすぐには信じられなかった。しかし、弟の真剣な表情を見ると嘘とも思えない。 「どうしてそれが分かったの?」 一番年上のエメルが尋ねた。 「僕はアーリン様に言われた通りにソグのエッセンシャルオイルを散布したんだ。」 クメルは苦々しい表情で説明を始めた。
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