第4章 セレ

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クメルはここ数日間に見た事を話した。 「オーリ様はロストークの魔法使いなんだ。魔法でスザールの茶畑を復活させてくれて…」 オーリが息子のセレに会う為にアリスドリナに来た事。 アーリンもまたセレを狙っていて、部下のディルザを使って両生類人もろとも攻撃した事。 戦闘で傷付いたディルザに、アーリンが魔法で大岩を落として始末しようとしたが、オーリが助け、自身は瀕死の重傷を負った事。 「アーリンはもう使えないと思った人間を容赦無く消す!」 いつの間にか『アーリン』と呼び捨てにしていた。 「だから、アーリンの言う事を信じちゃ駄目だ!ソグは毒なんだよ。もうソグの栽培なんてやめるんだ!」 クメルの必死の訴えに、二人の姉は顔を見合わせた。 「ソグが毒…?」 「本当に…?」 試してみよう、という事になった。 クメルが持っていたソグのエッセンシャルオイルの残りを農園の周りの雑草にかけてみた。 「見て。」 緑の雑草がみるみる茶色に変わって、くしゃくしゃと縮んでしまった。 「あっ!」 「本当だ…」 エメルとネフルは青ざめた。 2人は、足下で枯れて縮んだ雑草をしばらく見ていたが、やがて何かを決意したように顔を上げた。 「分かった。」 「うん、もうやめよう。」
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