第4章 セレ

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セレはその分厚い本を開いてみた。 …何だ?ところどころにしか文字が無い。白いページが多いな… 魔法書は『魔力に応じて読める書』なのだ。魔力が低下している今のセレには読めないページが多かった。 それでも充分、初級魔法の呪文や発動のさせ方は分かった。 冒頭の数ページに目を通して、数回、深呼吸をして心を鎮めた。 「=====」 声にならぬ声で呪文を唱えた。 セレの手のひらから風が生まれ、部屋の中を旋回し始めた。それは徐々に勢いを増し、バン!と弾くようにドアを吹き開けた。 …よし!… とセレは思ったが、もちろんランスがやって来た。 「フリート様!何をなさっているのですか?!」 「もしかしたら私にも魔法が使えるんじゃないかと思って試してみたんだ。そうしたら…こうなった。」 「魔法?」 ランスはセレの手に魔法書がある事に気づいた。 …魔法書が出せたのか。記憶を失っても魔力はゼロじゃないって事だ。油断できんな… 「フリート様、魔法は思いの(ほか)体力を使います。しばらくはお控えください。」 「それも父上の言い付けか?」 「はい。」 「言い付けを破ると私だけではなくランスも怒られると言うことだな?」 「その通りでございます。」 「では、こうしよう。」
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