二品目:お揚げの甘煮/田原昭彦

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「こっちのお湯沸いたぜー」  うどん用に沸かしていた鍋の蓋の下から、もうもうと湯気が上がってきている。蓋を開けると一気に湯けむりが広がった。  ひと玉ずつビニールを剥いて鍋にうどんを入れる。  温かいうどんは2分と書いてあるから、ふた玉入れてタイマーを二分セットする。  菜箸で軽くほぐして、茹で上がりを待った。 『ピピピッ』とタイマーが鳴って、亮平が気を利かせてコンロの火を止めてくれる。  鍋をシンクに移し、綺麗なザルにうどんをあけ、湯切りした麺鉢に温かいめんつゆを注ぎ、そこに茹でたてのうどんをひと玉分入れる。  トッピングに湯さらししたネギと煮揚げを乗せ、これで出来上がりだ。 「できたぞー。そっち持ってけ」 「あいよー!」  自分の分も麺鉢にめんつゆ、うどんを入れトッピングをしてダイニングテーブルに持っていく。  割り箸を二膳食器棚の引き出しから出して、ひとつをすでに座っている亮平へと手渡した。 「うんまそー!」 「熱いから気をつけろよ、じゃあご一緒に」 ふたり同時に手を合わせる。 『いただきます!』
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