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帰ってきてまずするのは花さんの足を拭くことだ。
自分が家に上がるよりも前に、花さんの足をウエットティッシュで綺麗に拭いてから廊下で滑らないように乾いたタオルで拭く。そうして花さんを先に家に上げてから、僕らが上がるのだ。
「どうぞ、上がって」
「おっじゃましまーす!」
大海原君が僕についてスニーカーを脱いで家に上がる。靴を揃えてあげてから、まずは洗面台に案内だ。手を洗ったら居間に行く。
「お雑煮ができたら持ってくるから、ここで花さんと待ってて」
荷物と上着を居間の隅に置いて、袖をまくった僕を見て大海原君が、
「そんなん悪ぃし、なんか手伝う」
とジャージの上を脱いで同じように袖をまくった。
長袖のTシャツは白地だけど、真ん中に書き初めみたいな黒の書体で〝賀正〟って書いてある。なんだかおめでたいTシャツだ。
「お客さんなんだし、いいのに」
「や~、ただ待ってるだけって性に合わねぇんだよなー。野菜洗ったりくらいはできっしさ! 遠慮すんなって!」
「そう?」
そこまで言うのなら一緒に作ればいいか。
大海原君と連れ立って台所に向かう。買ってきた食材を、エコバックから出してテーブルの上に並べると、次に調味料を出していく。
「あ、お餅お餅」
棚の中からお持ちの入った袋を取り出してテーブルに置いた。
「よし、じゃあ始めよう。まずはお鍋に水を750ミリリットル入れる。次に野菜の下準備。大根と人参は4センチ幅くらいに切ってから2ミリ幅くらいの短冊切り、小松菜は大体2センチ幅くらいに切る……」
大海原君に野菜を洗うのと皮むきをお願いして、できたものから順番に切っていく。
「次になるとを4枚くらい切って……鶏モモ肉は皮を外して小口切りにする」
切った野菜を重ならないようにお皿の上に順番に乗せて、なるとと小さく切った鶏モモも乗せる。
「そしたら、大根と人参を入れてコンロの火をつけて茹でる」
大根と人参は根菜だから水から茹でるって春原先生も言ってたし、お祖母さんにもそう聞いた。
沸騰してきて煮立ってくると、人参からアクが出てくる。それを丁寧にすくってから大根と人参を一枚ずつ取り出して小皿に置く。
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