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「せんせー、花が餅食いたいって」
「お餅はあげられないけど、さっき取っておいた茹で野菜とお肉があるよ」
「聞いたか花! お前にも食えるモンあるって!」
「ワンッ!」
大海原君が小皿を持って花さんのところに行くと、花さんはやっぱりお行儀よくお座りをして待ての姿勢を取る。
うーん……おりこうだなぁ。
「花、お手!」
大海原君が右手を差し出すと、花さんは勢いよく彼の右手に自分の左足を乗せる。
「おかわり!」
今度は左手を差し出され躊躇いなく右足を乗せた。
「もっかいお手!」
素直に足を乗せてくるから楽しくなっちゃったのか、大海原君がもう一度右手を差し出した。
やっぱり花さんは躊躇いなく、勢いよく左足を彼の右手に乗っける。
さすがだ、迷いがない……。
「よーしよし! 花はホントにイイ子だなー!」
にゃははと笑って花さんの頭を撫でる大海原君。花さんは撫でられてご満悦だ。
「えっと、大根と人参と葉っぱと肉な! いっぱい食えよ!」
大海原君は自分の手に全部乗せて花さんの鼻先に掌を突き出した。花さんはお座りの姿勢のままで、ぺろりとそれを平らげる。
やっぱりそれじゃ足りないよねぇ。
「大海原君、そっちのストッカーに花さんのオヤツが入ってるんだ。もっちりササミジャーキーって書いてある袋から2本くらいあげてもらっていい?」
「まかせろ!」
ガサガサとストッカーの中を漁ってジャーキーを取り出すと、大海原君はいそいそ花さんのところに戻って、ちょっとずつちぎりながら花さんにジャーキーを食べさせる。
そうこうしているうちに、お餅を入れたトースターが『チーンッ』と鳴って、香ばしい匂いが漂ってきた。
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