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帰宅し、身支度を整えて昼食を終えると、早々に夕飯の準備に取り掛かる。二合分の米を研いで炊飯器にセットし、先に味噌汁を作る。今日の具材は定番の豆腐とわかめだ。
次に野菜室から白菜を取り出し、しっかりと水洗いしてから適当な大きさに切り、ボウルに移して塩昆布と鷹の爪、ほんの少しだけ酢を加えてしっかりと混ぜ込み、ラップをして冷蔵庫にしまう。
冷凍しておいた鮭は自然解凍させるためにラップを外して皿に移し、皿の上から再びラップをかける。実際に夕飯を食べるのは17時以降になるから、これくらいの下ごしらえで十分だ。
「さて。心一郎君から教えてもらったツナ和えを作ろうかな」
まずは調味料を準備する。メモに書かれた通り、鶏ガラスープの素、酢、醤油、マヨネーズを出してきて台所にあるテーブルの上に並べた。
次に菜の花を手に取り、束ねてある紙を外してからしっかりと水洗いする。根本の汚れた部分をほんの1ミリ程度切り落とし、一旦ザルにあけておいて、貰ってきたレシピが書かれたメモを見直した。
「ええと……まずはお湯を沸かして、沸騰したお湯に塩を小さじ1と水洗いした菜の花を茎の方から入れ約1分茹でる。茹でた菜の花はザルにあけ冷水に浸し粗熱を取る、か」
流し台の下から雪平鍋を出してきて水を汲み、コンロの火にかける。雪平鍋の取手は木製なので焦がさないように火は中火だ。
しばらくすると張った水の淵や底にプツプツと気泡が見えはじめたから、調味料棚から塩の入ったボトルを取り、調理器具の入った引き出しを探って計量スプーンを取り出して、小さじすり切り1杯分の塩を量る。
しっかりと湯気が立ってお湯が沸いたことを確認してから量った塩を鍋に投入し、菜箸で軽くかき混ぜ塩を溶かし、ザルにあけておいた菜の花を茎の方から加えた。
冷蔵庫に貼り付けてあるキッチンタイマーを1分にセットする。時々菜箸で菜の花をかき混ぜていると、『ピピピ』とタイマーの音が鳴った。
コンロの火を止め、雪平鍋を流し台に持ってくると、置きっぱなしになっていた空っぽのザルに一気にお湯ごと菜の花をあける。
そのまま雪平鍋に水を汲み、ザルに入った菜の花をしっかりと浸して粗熱を取り、指先で摘んで冷えたかどうか確認すると──。
「うん、このくらいでいいのかな」
雪平鍋からザルを上げて菜の花の束を手で持ち、しっかりと水分を絞る。こういう作業は、小松菜やほうれん草と同じらしい。
出しておいたまな板の上に水気をしっかり絞った菜の花を乗せて、再びメモを覗き込んだ。
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