九品目:ピザトースト/長濱亮平

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「これならパンかなにかありゃじゅうぶんだな!」  パンはタイミングよく、昨日姉ちゃんが駅前のナントカって並んで買うようなパン屋で食パンを一斤買ってきてたからそれでいいとして、ただトーストだけってのも味気ない。  育ち盛りの運動部としては、ボリュームあるもんが食いたいもんな!  冷蔵庫を開けるとドアポケットに入ってるが視界に飛び込んでくる。 「アキ、ピザトースト食う?」 「え?」  ドアポケットに入っていた、市販のピザソースのボトルを手に取る。    ピザトーストはオレが小学校入ったくらいの頃に、母ちゃんが「これなら簡単だからリョウちゃんにも作れるよ!」って教えてくれた料理の一つだ。  オレが気に入ってバカみてぇに何回も作るから、いつの間にか我が家にはピザトーストの材料が常備されるようになった。  ソースを見てたら、それを思い出して……。 「リョウ、作れるのか?」 「バカにすんなよー。オレだって料理できるんだからな。まぁピザトーストなんて料理のうちに入んねぇかもだけど! えーっと、ソースとチーズだろ、ハムとたまねぎ、ピーマン、マヨネーズにバター」 「おー、材料だけ聞くとそれっぽい」 「これさ、ガキのころ母ちゃんが作り方教えてくれたんだ。すげーうまくて、バカみたいに何回も作ってさ、多分、オレの得意料理」  材料を取り出して野菜室や冷蔵庫を閉める。キッチンにそれらを並べて、リビングのテーブルからパンの袋を持ってきて、流しで手を洗ってからまな板だけ棚から出してきて、いよいよ調理開始だ。 「包丁は?」 「なんと使わなくてもできる! ピーマンは洗ってヘタんとこをグッて押すとタネが取れんだって」 「ほぉー」  ピーマンをひとつ洗ってヘタをグッと押し込むとその形にくり抜いたように穴が開くから、そこから指を突っ込んでタネを根こそぎ引っ張り出す。中に落ちた分はひっくり返してトントンってすれば出てくるから楽勝だ。
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