九品目:ピザトースト/長濱亮平

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「流石にたまねぎは切らないとだろ?」 「チッチッチ、甘い。家庭スーパーに〝スライスたまねぎ〟ってのが売っててさー、これを必要な分だけ熱大丈夫な皿にいれてー、レンジで30秒チン! ついでに生だと青臭いからピーマンもちぎってたまねぎと一緒にチンだ!」  母ちゃんは食材の管理がズボラで生野菜なんかだと結構腐らせる。  けど、テレビで家庭スーパーの特集を見て、冷凍のほうれん草だとかたまねぎだとかブロッコリーなんかを買いはじめたら「炒めものやスープも作れるしこれは便利ねー!」なんつって笑ってた。  おかげさまでたいして好きでもないブロッコリーが弁当のすみっこにいることが増えて、こっちはぼちぼち迷惑してる。  作ってもらってる手前、なんも言わねーけど。  そうこうしてるうちにレンジにかけたものができあがる。 「食パンにバター塗って、ピザソース塗って、チンしたたまねぎとピーマンのっけて、ハムもちぎってのせて、そしたらマヨネーズをピュピューってして、さいごにチーズをちぎってのせて、これでトースターで焼くだけだ! 簡単だろ?」  ふたり分を並べてトースターに入れ、ツマミを4ぐらいまで回す。  その間にスープを温めたり皿を出したり後片付けをして出来上がりを待った。 『チーン』──トースターが鳴ってパンの焼ける香ばしい匂いがキッチンに広がる。 「部屋で食おうぜ!」  大きいトレイにそれぞれのピザトーストをのせた皿と、野菜スープの入ったカップと、フォークをのせて、 「気ぃつけて持ってけよ」  って言いながらアキにトレイを持たせる。  んで、オレは冷蔵庫からお茶の入ったペットボトルと、氷の入ったグラスを用意してそれを手に持った。  二階の部屋に戻って折りたたみテーブルに広げてた勉強道具を片付けて、そこに持ってきたものを置く。
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