届け

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今年もまた一歩踏み出した 辛くて暗い道だった それは夜でもないのに明かりがない道だった 崖っぷちだった 崩れ落ちて泣いたり 怒って叫んだり たまに道が塞がれて どうしようもなく落ち込んだり たまに振り向く道は真っ暗闇で 必死につけたはずの足跡が見えなくて 「ああ、頑張れなかったな。」だとか いつまで歩いても見えない景色 忘れてしまった光 愛 大好きだって言われたことも 支えてもらったことも 楽しくて楽しくてたまらなかった思い出も 思い出せなくなっていた 苦しい時の影に隠れて いつの間にか忘れてしまっていた あなたの存在の私の中での大きさを だけどその瞬間背に触れた あたたかいてのひらが 「頑張ってね」と一言 残して見えなくなった光が あなたがこれまでくれた言葉をふいに 思い出して優しい温もりに満たされた また頑張れたんだ 少しだけ振り向いて 「無理に前だけ向かないで」と あなたに言ったのは私だから 私も過去の私を抱きしめて 真似しようと振り向いてみた でもそれだけじゃやっぱり遠くて 来た道をもう一度辿ってみた 懐かしい景色が見えた ああ、こんな道も通ったな こんなこともあったな そういえばあの時あなたが 「楽しみにしてる」と言ってくれた・・・ 道のりと足跡に乗せて思い出す記憶はどれも 輝き導く光 長い長い道は あなたと過ごした時間の楽しさの証 そしてようやく思い出す あの頃こんなに私は 笑って居たんだと 楽しんでいたんだと 一緒に在ったんだと 気づいたら泣きたくなっていた 目の奥がツンと優しかった 辛さがすっと抜ける想いがした 少し、声が出た でこぼこ道が あるいは暗闇の細道が どうしようもなく愛しくなった ありがとうとごめんなさいを君に 山ほど伝えたくて 伝えきれる気もしないけど 途方もない数の想い伝えたくて 聴こえますか?今 読んでいますか? もし 届いているならこれほど 嬉しいこともないや 「ありがとう」 「本当に 本当に たくさんありがとう。」
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