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柴田の鶴の一声で少し遅い昼食は皆で蕎麦を食べる事になった。社長は嬉しそうにポケットから皺々の五千円札を出し、「三田、コンビニで麺つゆ買って来い」と言った。
「三田さん、私が行きましょうか?」
「上原さん、いいよ。その代わり、テーブルの上を片付けておいてくれる?」
「分かりました」
コンビニへ行くと、今日が仕事納めだという客と年末も仕事だという店員が、お互いを労っていた。紙皿類と麺つゆ、惣菜をいくつかと、ここぞとばかりに猫の高級おやつも買う。買い物客はどこかウキウキした様な表情で、いつもと違う何かを余分に買ったりするのかもしれない。
「あれ、今日は遅いお昼ですか?」
「あっ、どうも。ツバメ急便の……そちらも?」
いつも、会社に来てくれる宅急便の宮里が、カップラーメンとおにぎりとプリンを手に後ろに並んだ。
「道が混んでいて、作業が押してしまって……今日は配達ありますか?」
「あっ、はい。夕方来てくれますか?」
「了解です」
白い歯がキラリと光った。
「……甘いものお好きなんですね」
「え? ああ、プリン。午後も頑張らないとなんで」
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