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「大丈夫ですよ。社長なら許してくれます。それより、惣菜買って来たので昼ごはんにしましょう。柴田さんは?」
「もう、茹でてるよ! 麺つゆと皿ちょうだい」
台所から柴田と上原が楽しげに叫んだ。
「もう出来るか?」
社長室から、満足げな社長と社長にこき使われていたらしい松井がよれよれと出て来た。
「お腹すいた……」
「おまたせー!」
柴田と上原が温かい蕎麦を運び、惣菜をテーブルに広げた。
「コロッケとメンチカツか。お? こりゃシュウマイか?」
社長が愉快そうに自分の皿に一つずつ載せた。
「僕もメンチカツ良いですか」
「好きなの食べなよ」
皆も仕事からの開放感か掃除の疲れか、遠慮なしに惣菜に手を伸ばす。
「……うまいな」
「美味しいですね」
皆、幸せを噛み締める様に蕎麦をすする。
「来年も皆んなで蕎麦食える様に頑張ろうや」
「……社長、来年は僕が注文しますから」
「三田、それは言うな」
「……すみません」
皆が笑う。社長もガハハと笑う。面倒くさい事の方が多いけど、きっと来年も社長に振り回されながら、それでもこの職場にいるのだろう。
「ビール飲みたくなったな」
「えっ」
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