9人が本棚に入れています
本棚に追加
確保した分を飲まれるとでも思った松井が、がたりと立ち上がる。
「松井君、心配無用。実はね……」
冷蔵庫からノンアルコールビールとお茶を持って来ると、皆がわっと声を上げた。
「やるな、三田」
「飲みたい人はノンアルコールビールを」
「お前、俺の金使い切ったな」
「……どうぞ、社長」
ノンアルコールビールをコップに注いで渡すと、「うむ」と頷いた。ギリギリセーフ!
「皆のもの、ご苦労だった! 来年もよろしく頼む。乾杯!」
どこかの武将みたいに言うと、皆もそれぞれ乾杯した。
「なんだか掃除、面倒になって来るわね」
「柴田さんのところが一番物が多いんですからね。送るなり持って帰るなりして下さいね」
「……食べたらやるわよ」
密かにアイドルグループの追っかけをしている柴田のデスクは、仕事とは関係ない音楽雑誌やイベントグッズで溢れている。
「三田さんのデスクはいつも綺麗ですよね」
恨めしそうに上原が言い、皆が同意する様に頷いた。
「物が溢れてるのが苦手なんです」
「悪かったわね」
柴田が不貞腐れた。
「自分の場所はって事ですよ。そんなに睨まないでくださいよー」
最初のコメントを投稿しよう!