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 ざり、と後ろで音がして。振り向いたら、ホッとしたような顔の海斗と玲央奈が立っていて。  驚きすぎて、声が詰まった。何を言えばいいのかわからないながら口を開く。 「子供だけでこんなところまで来るなんて、もうこんなに暗いんだから――」 「そんなに遠くないよ」  さらりと言う海斗に、理屈の通らない理論とは知りながらも言ってしまう。 「とにかくダメなの! 二人だけで来ちゃいけない。途中で車にでも轢かれたら、どうするつもりだったの!」  急に大声を上げた私に、道行く人が驚いたようにこちらを見た。しまった、と思って呼吸を整える。彼らの視線が逸れたところで、海斗に向き直る。 「海斗。お母さん、もう海斗と一緒にいられないんだよ」  彼の表情からは、何も読み取れなかった。寂しげにも、恐ろしがっているようにも見える顔に、疑問の色が浮かぶ。 「なんで?」 「……もう、無理なの」 「なんでよ、もっと一緒に――」 「無理だって言ってるでしょ!」  また、声が大きくなる。海斗は今度こそ、恐れ慄くような表情になった。視線を下に落とし、けれど言う。 「いいじゃん。誕生日だもん」 「でも」 「なんでも買ってあげるって、言ったのに!」  今度は私が怯む番だった。子供が泣き出すその直前の空気が、昔から嫌いだ。嵐の前の静けさとでも言うかのように、一瞬音がなくなる。 「お母さんの嘘つき!」  ドキッとした。
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