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それを皮切りに次々と広場から声が溢れ出ます。
「僕も貰った。これで少しでもお腹を満たすようにって!」
「私はツバメと幸福の王子の像が話しているのを見たわ!」
「俺も俺も!」
広場に溢れる声は町中に、いや、国中に響いているんじゃないかって思うほど大きなものでした。
それに押されたのか「非現実的だ!」と叫ぶこともせず、兵士さんはぎょっとした顔をしています。
そして、静かに私を見ます。
私は視線をそらして手の中のツバメを見ます。もう二度とは動かないツバメを。
そして、小さく息を吸い、嘘を吐く準備をしました。
「ツバメは自由に空を飛び回っていました」
広場に溢れる人々の訴えに掻き消されそうな小さな声だったけど、兵士さんは静かに目を丸くさせていました。
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