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この広場にいる人は皆、そうです。いつも力なく幸福の王子を眺めています。
また寒い朝がやってきました。
私はちゃんと目が開けたことに安堵し、白い息を吐きました。
今日は昨日よりずっと寒くなり、冬はどんどん深くなっていくのでしょう。
隣にいたツバメはまだ目を閉じていたので、ツンツンと指でついてみるとゆっくりと目を開いて眠そうに閉じました。
無理矢理起こすのは可哀想な気がしたので、朝ご飯を探しに行こうと思いました。
裕福な人達が住む場所に向かおうと立ち上がったとき、私は幸福の王子の方を凝視してしまいました。
痩せ細った女の人が幸福の王子の瞳に手を伸ばしていたのです。
手を伸ばして、青い宝石を取ってしまいました。
私は驚いて口をあんぐりと開き、女の人が走り去っていくのをただ見ているだけでした。
私はなんだか怖くなり、周りを見ます。
周りはいつもの通りに見えました。酔っ払いは大きないびきをかいて寝ていて、皆朝ご飯を探しに行こうとしています。
でも、幸福の王子の片方の目は空洞です。さっきのは夢じゃないとわかります。
だけど、私はさっきのことは夢だったと思うことにしました。
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