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私がツバメと出会って数日が経ちました。
今、ツバメは目をパッチリと開き、しっかりとパンを食べてます。
私はその姿を見て、思わず微笑みました。
ツバメは翼が折れたままだけど、ちゃんと元気になっていると思います。
ふと、酒臭さが立ち込めます。
隣にニタニタ笑いの酔っ払いがいました。
「嬢ちゃん、まだ死に損ないの世話をしてるのかい?」
そう話しかけられて、私は慌ててツバメを抱えて逃げました。
後ろから、酔っ払いのケラケラと笑う声が聞こえてきました。
酔っ払いはいつになく機嫌が良いのでしょう。
金箔で本物のお酒が買えたのだから。
ここ数日で、幸福の王子の姿は何ともみっともない姿になりました。
鮮やかな宝石は黒い空洞になり、金箔はどんどん剥がれ、殆ど、ただの鉛の像へ化していったのです。
金箔の部分はお尻の部分にあることにはあるのですが、何とも中途半端で余計みっともなく感じます。
私はツバメと一緒に幸福の王子がただの鉛の像に変わっていくのを見ていました。
でも、それは私にとって殆どどうでも良いことだったので、大して気にも留めませんでした。
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