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次の日の朝、兵士さんの怒号で目を覚ますことになりました。
その怒号は酔っ払いに向けたもので、沢山の兵士さん達が並んでいます。
先頭の兵士さんはただの鉛の塊になった幸福の王子を指差していました。
でも、そんなことは私にとって、どうでも良いことです。
私の隣に、私の近くに、ツバメがいないことの方が私にとって大問題でした。
無我夢中でツバメを探しました。
兵士さん達を横切って、俯く酔っ払いや広場の人達を気にも留めずに探しました。
そして、見つけたのです。幸福の王子の足元で息絶えたツバメを。
私は涙を堪えてツバメを手の平で包み込みました。
ツバメはいつもより冷たく重いような気がしました。
顔を腕で拭いて周りを見てみると、広場中の皆が私を見ていました。
兵士さんが私の所に近付いてきました。
「それは……」
神妙な面持ちでツバメを指差します。
ツバメをよく見ると、嘴に金箔が咥えられていました。
「俺はそのツバメから貰ったんだ!」
唐突に酔っ払いがそう叫びました。
兵士さんも私も目を丸くさせます。
「私も青い宝石を貰ったわ! 幸福の王子から病気の息子の薬代にって!」
次に、何処からか女の人の声が聞こえてきます。
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