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ラフィカは繋いでいた手を離し、ひとり建物のほうへと迷いなく歩みを進めていく。
モルナは慌ててその背を追った。が、辺り一面には瓦礫が散乱していて、思うように先へ進めない。
そんなモルナのことを気にする素振りも見せず、先へ先へと向かうラフィカはまるで独り言を呟くかように話を続けた。
「この神殿には精霊がいて、人が心の奥底から願う純粋な想いを叶えてくれるの」
「え?」
「きっと昔の村人が願ったんだと思うわ、ずっと村が存続しますようにって」
何の話をしているのかちっとも分からないモルナは、やはり黙るしかない。
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