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建物跡に入ったラフィカは、そこここに散らばる瓦礫を器用に避けつつ、ぽっかり空いた天井から透けた陽光が降り注ぐ建物内の中央辺りまで足を進めると、立ち止まっておもむろに振り返った。
「はじめようモルナ」
「何をするのラフィカ?」
戸惑いと不安がモルナの口をついて零れ落ちたが、ラフィカは目を閉じたまま自身の両手を合わせ指を絡めると、黙って頭を垂れた。
モルナは息をひそめてその姿を見守るしかない。
どのくらいの時間が経っただろうか、ふとモルナの瞳が小さな光をとらえる。
視線を動かすと、いつの間にか辺り一面にたくさんの小さな光が瞬いていた。
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