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笑顔をみせながら立ち上がり、両手を広げる。
「さあ 行こうモルナ! ほら 手を繋いで!」
見上げたモルナの目には、陽の光を背に笑みを湛えたラフィカが妖しいほど美しく映った。
モルナは戸惑いながらも頷くと立ちあがり、言われた通りラフィカの手を引いて歩きだした。
「どこへ行くの?」
「いつものところよ。私達の秘密の場所」
それは村はずれの森の中、古い古い建物が崩れた跡地。そこは昔々に栄えた宗教の寺院跡だって、小さい頃にモルナはおばあちゃんから聞かされたことがある。
普段、村の人は誰も近づかない。
稀に、肝試しのつもりで訪れる人もいるみたいだけれど、まず出会うことはなかった。
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