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幽霊が出るとか不吉な場所だとかいって近づかない人が多いからだけど、ラフィカに言わせるとそれは間違った認識らしい。 「何をどう認識するかはその人の心の有り様に由来する…恐れを抱くから恐怖を感じてしまう、ただそれだけのことよ」 言いながらラフィカは首を傾げる。 それは物事を突き詰めて考える時の彼女の癖。 「私、畏れは感じるけれど恐いと思ったことはないわ。モルナもそうでしょう?」 同意を求められたモルナは「そうね」と頷いた。 確かにそこは静寂で静謐で、壮厳な雰囲気を漂わせる場所ではあったが、ラフィカの言うとおり恐いと思ったことはなかった。 他の皆とは異なる感覚、ラフィカとだけ同じ感覚。それが何より嬉しいとモルナは思う。
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