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僕の部屋の机の上には、緑色のタヌキが真顔で立っている彫刻がある。
僕は、そのタヌキの彫刻を見ながら、昔を思い出した。
僕のお父さんは彫刻家だ。僕が小学生だったころ、お父さんになにか作ってと言った。そしたらお父さんはタヌキを作ってくれた。
僕は嬉しくてそのタヌキを絵の具で緑色にぬった。そして自慢するように家に遊びに来た友達に見せたのだ。
しかし、それを見た友達は「何だこれ、変なタヌキ!」と言って僕をバカにした。そして学校で僕のあだなは「タヌキ」になってしまった。
そんなこともあって、僕はその彫刻を見るのが嫌になってしまい、そのタヌキを部屋の壁に向かって投げつけた。
するとタヌキの彫刻は壁にぶつかって体の一部がかけてしまった。僕はそれをそのままにして部屋の中に放置した。
そうして何日かすると、お母さんが掃除をしに僕の部屋に入ってきて、タヌキが壊れているのをみつけることになった。
お母さんは「どうしたの?これ」と言った。僕は「知らない」と言うと、お母さんは「ちゃんと話して」と言った。僕は友達にバカにされたことを話した。
お母さんは「そうだったんだ・・・つらかったね」と言ってなぐさめてくれた。そして最後に「これもってくね」と言って、タヌキをもって僕の部屋から出て行った。
次の日、朝起きると僕は自分の机の上に緑のタヌキが置いてあることに気づいた。
僕は「あれ、なんでだろう」と言って、よく見るとそのタヌキは僕がこわしたタヌキで誰かがボンドで直したあとがあった。
お母さんが直してくれたのだ。そう思った。お母さんに聞くと、「お父さんには、壊したこと内緒にしてね」と言った。僕は、「わかった」と言って、お母さんに「直してくれてありがとう」と言った。
ちなみに後日、お父さんが僕の部屋に入ってきて、全てを知ることになるのだが・・・
そうして昔を思い出していると、僕はベッドに横になった。
ふと、思い出したように僕の机の上にあった真顔の緑のタヌキの彫刻を見た。
その顔は、僕に向かってほほえんでいるようにみえた。
そんな気がした。
終わり
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