そして

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縞子と花、そして布を持って行った。 ぽっかりと穴の空いた様な寂しさを覚える。 私は寝室に寄って母の元へ行った。 母に、そして福岡に居る父にも、この事は知らせなくてはならない。 「お母さん、縞子が亡くなったよ」 母が目を開けた。 「哀しいけど、仕方ないよね…。ネコの寿命より長生きしてくれたんだから…」 涙声の私に母は精一杯腕を伸ばして、頬を流れる涙を指で取ってくれた。 そして文字盤で。 あ、き、ら、は、い、き、て、ね、 と言ってくれた。 父は今頃、講義中だろうから電話を掛けるのは夜にしようと思っていた。 ふと、雨音がしなくなったなと思って窓を開けたら雨上がりの空に、冬にしては珍しく虹が掛かっていた。 縞子があの虹を渡って天国へ旅だった様な気がした。 そして今。 私は縞子のアルバムを持ち歩いて、ペットのコ○マ、発注専門店で、シーツを作ったり洗い物をしたりする裏方のお仕事をしている。 母は病院に入院して、定年を迎えた父が頻繁にお見舞いに行っていたが、コロナの影響でそれも出来なくなってしまった。 ここ数年で私達を取り巻く世界はガラリと変わってしまった。 でも…それでも縞子と暮らした19年間は私の心の中で鮮やかに輝いている。 だから決して色褪せる事はない。 完 追記。 この作品を書き終えた一週間後、母が亡くなりました。 そして、しばらく休筆していました。 母は75歳。 優しく明るく気が強い人でした。
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