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父の書斎は2階の私の自室の隣に在る。
ドアも閉めていない中を覗くと、気配で気付いたのか、私に背を向ける格好で、横たわるミケを見ていた母がこっちに振り返った。
「お帰り〜アキラ。ミケが子猫達を産んだよ」
「お母さんの声、下まで聞こえていたもん。そうだと思った。子猫、見せて」
私と入れ替わる形で母はミケの飲み水を替えに行った。
私は、猫用の小さな布団の上に横たわったまま、子猫達にオッパイをあげてるミケの前にしゃがんだ。
「偉いね、ミケ。よく頑張ったね」
そう言ってミケの毛並みを撫でる。
ミケは最後に産んだ子猫の内膜を食べてしまうと、他の子猫達同様、オッパイを与え始めた。
ミケのお腹には子猫が1人、2人、3人…あれ?
子猫達は全員、背中が茶色だった。
区別らしい区別がつかない。
いや、それでも結局4人いた事と、1人だけ尻尾が長い子猫はシッポコと名付ける。
しかし、後の3人は背中を見る限り、区別がつかなかった。
産まれたての子猫は耳もクシャッとなっていて、4人の柔らかそうな背中が仲良く並んでいる。
私は子猫達を触りたいのを我慢して、ずっと見つめていた。
暖かそうな…小さな命。
やがて母が新しいお水を汲んで来るまで、私は子猫達から目が離せなかった。
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