誕生

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無論、父に子猫を1人飼っても良いか、許可してもらう為だけど、動物が苦手な父のことだ。 きっと反対されるに違いない。 そう思うと、なかなか受話器を取れない。 「アキラ、お父さんに電話するなら早くなさい。夏休み中でも夜更かしすることはダメよ」 「解っているけど…お父さん、怒るかなぁ」 「怒られるとしたら、お母さんもよ。アキラが家にミケを入れたのを黙認してたんだから。ま!予防接種みたいなものね」 母は、あっけらかんとそう言って笑ったが、私はどうしても覚悟がつかない。 と、その時、ジリリリリン!と電話が鳴った。 思わずビクッとなる私。 母は言う。 「ほら、なかなかアキラが掛けないから、お父さんの方から掛かってきたじゃない」 本当に父であって欲しい様な、違う人であって欲しい様な。 私はドキドキしながら受話器を取った。 「もしもし…」 『もしもし、アキラか?何だ、今日は元気がないな』 電話の向こうから聞こえてくる声は確かにお父さんの声だ。 私は、フルフルと受話器を持っていない手を膝の上で握り締めると、意を決して言った。 「以前話したミケ、覚えているでしょ?」 『ああ、あの首輪をつけているのに、アキラが家の中に入れたって言う猫か』 父の声のトーンが下がる。
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