14人が本棚に入れています
本棚に追加
無論、父に子猫を1人飼っても良いか、許可してもらう為だけど、動物が苦手な父のことだ。
きっと反対されるに違いない。
そう思うと、なかなか受話器を取れない。
「アキラ、お父さんに電話するなら早くなさい。夏休み中でも夜更かしすることはダメよ」
「解っているけど…お父さん、怒るかなぁ」
「怒られるとしたら、お母さんもよ。アキラが家にミケを入れたのを黙認してたんだから。ま!予防接種みたいなものね」
母は、あっけらかんとそう言って笑ったが、私はどうしても覚悟がつかない。
と、その時、ジリリリリン!と電話が鳴った。
思わずビクッとなる私。
母は言う。
「ほら、なかなかアキラが掛けないから、お父さんの方から掛かってきたじゃない」
本当に父であって欲しい様な、違う人であって欲しい様な。
私はドキドキしながら受話器を取った。
「もしもし…」
『もしもし、アキラか?何だ、今日は元気がないな』
電話の向こうから聞こえてくる声は確かにお父さんの声だ。
私は、フルフルと受話器を持っていない手を膝の上で握り締めると、意を決して言った。
「以前話したミケ、覚えているでしょ?」
『ああ、あの首輪をつけているのに、アキラが家の中に入れたって言う猫か』
父の声のトーンが下がる。
最初のコメントを投稿しよう!