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「ああ…疲れた…」
「ははっ、凄い勢いで尋問されてたもんな。」
「もう、笑い事じゃないよ、バレちゃったよー、あー、明日からどうすればいいのー。」
今日も俺の家に那紬と2人帰宅すると、那紬はソファーに傾れ込み、頭を抱えている。
「まぁ、いいじゃん、これで会社でも堂々とイチャつけるし。」
「イチャつきません!」
どうやら、山吹とのあのやり取りを通りがかりに聞いていた奴がいたらしい。
それがあっという間に広がって、夕方にはあの状況になったようだ。
俺としては願ったり叶ったりで、何も困らない。
寧ろ、盗み聞きして言いふらしてくれた奴にお礼を言いたいくらいだ。
「まぁ、面白がって色々言ってくんのも最初だけだよ。別に悪い事してる訳でもねーし。ほっとけばそのうち収まるだろ。」
「…………はぁ、遥臣はいいかもしれないけど私は…遥臣の発言のせいで『比嘉さんの彼女はめちゃくちゃいい女』って皆んな思い込んでるのに…その相手が私だって分かったら…」
「だーかーらー、お前は自己評価低すぎなんだよ。那紬は誰がどう見てもめちゃくちゃいい女だろ。何を気にする事があんだよ。」
「………それは遥臣の欲目で…」
「今日だって山吹の反応見ただろ?寧ろ、俺には勿体無いって言われるっつーの。」
「…………なんでそんなに嬉しそうな顔してんのよ。」
顔の緩みが抑えきれない俺に、那紬が恨めしそうな視線を向ける。
「え、だって、これでもう那紬に声掛けてくる奴もいなくなると思ったら…」
「…………はぁ、その能天気さ、分けて欲しい。」
「那紬が心配しすぎなんだよ。」
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