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「お、来た来た!比嘉お疲れ~」
「おー、お疲れ」
久しぶりの同期達との飲み会に1時間ほど遅れて顔を出すと、いつもの顔ぶれに異動で春から本社勤務になった面々もちらほら。
今回は三倉の『子供が生まれたらしばらく飲み会に参加できないから産休に入る前に集まりたい』というたっての希望で召集がかかった。
その、かなり腹の膨らんだ産休間近の三倉と並んで、何やら楽し気に話している那紬を見つけてそっちに向かいかけるも、
「比嘉、待ってたぞ、こっち来い!」
と、山吹に呼ばれて渋々那紬とは離れた席に座る。
「何だよその顔は。会社でも家でも片瀬とは一緒にいるんだろ、たまには離れて俺らの相手しろ。」
「や、外回り多くて日中はほとんど俺会社にいねーし。」
「…………。」
「…何だよ、逆にその顔は。」
「いやー、ホント人って変わるもんだなと思ってさ。」
「何がだよ。」
「だってお前、昔は社内の子に手出してその子がちょっとでも会社で親密な雰囲気出そうもんならすげーウザがってたじゃん。『普段は営業でほとんど会社にいないからいいけど、内勤の日は地獄』とか言ってさ。」
「あー、あれはマジでウザかった。」
「それが、外回りばっかりで仕事中はほとんど那紬に会えないから寂しい…なんてよ。」
「んなこと言ってねーだろ」
「顔に書いてあんだよ」
「つうか、お前が那紬とか呼ぶな」
「うわっ、嫉妬?ヤキモチ?マジでお前比嘉か?」
「うるせー」
山吹にイジられるとかマジうぜー。
やっぱり那紬の所に…
「おい、逃がさねーぞ、こら」
そっと腰を浮かせかけたところでガシっと肩を組まれて阻止されてしまった。
何なんだよ、酔っ払いめ。
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