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「あー、俺もあと1年早く本社戻れてれば…ワンチャンあったかもしれねーのになー。」
「は?どういう意味だよ。まさかお前も那紬狙ってたとか言わねーよな。」
まぁ、1年前じゃ全然遅いけどな。
「いや、狙ってた訳じゃねーけど、真面目に恋愛するなら、片瀬だろ、やっぱ。」
「………真面目に恋愛って…そんな気あんのかよ。」
「………や、まあ、まだねーけど。」
「何だそれ。」
でも実際、那紬を狙ってた奴は本当に山ほどいて、それでも那紬にとってみれば不毛すぎる俺との関係を、何年も続けてくれて他の男に靡かずにいてくれた事に、今は感謝してもしきれないくらいだ。
那紬に視線を向ければ、相変わらずなんとも言えない色気と可愛さを醸し出しながら、三倉と他の同期女子数人と笑い合っている。
あー、やべえ、可愛い。隣に行きたい。触りたい。今すぐ連れ帰って…
「おい、なに気持ち悪い顔してんだよ。」
「あ?」
「デレた顔しやがって。」
「うるせーよ。仕方ねーだろ。俺の彼女が可愛すぎんだよ。」
「うわっ、なんだお前死ぬほどむかつく。」
そう言って両腕をさする山吹に、とびきり爽やかな笑顔をお見舞いしてやった。
まあ、こんな風にくだらなくて馬鹿みたいな話で盛り上がるのもたまにはいいか。
と思いつつも、本音はやっぱり今すぐ那紬と二人きりになりたい。
途中で抜け出すか…。
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