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「片瀬、本ッッ当に比嘉でいいわけ!?」
この前と同じ事をまた聞かれた那紬はフフッと笑いながら、うん。と頷く。
やべ、マジで可愛すぎるんだが。
「泣かされたら俺に言えよ。」
「いや、山吹だけには言うな。つうか、泣かせねーし。」
キャー!!と、また女性陣が声をあげる。
「んなこと言って、分かんねーぞ、こいつは。なんせ今までが今までだし?傷つけられる前にやめといた方がいいかもよー?」
山吹め、マジでこいつ絞める。
俺の横から乗り出して那紬に余計なことを吹き込む山吹の首に、手を伸ばしかけたところで那紬の柔らかく控えめな声が届いた。
「……んー、傷つけられたとしても、泣かされたとしても、それでも私はさ、遥臣がいいんだよねー」
思わず那紬の方を振り向くと、頬を赤く染めて目尻を下げ、ふふっと微笑むその姿が、もうマジで天使みたいで、可愛くて愛おしくて、一瞬周りに人がいるのを忘れて抱きしめてしまいそうになる。
刺さった…今のは、マジ刺さった…。
山吹も、周りにいた女子たちも、一瞬言葉を失って、冷やかしとも呆れるのとも違う、なんとも言えない空気がその場を包み込んだ。
三倉だけは、やれやれって顔で肩をすくめてる。
「…え、あれ?私、変なこと言ったかなぁ?やだ、酔っちゃったかも、ふふっ」
ああああああああ!マジで、今すぐ連れて帰っていいっすか!?
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