番外編〜episode.2〜

22/30
前へ
/205ページ
次へ
「片瀬、本ッッ当に比嘉でいいわけ!?」 この前と同じ事をまた聞かれた那紬はフフッと笑いながら、うん。と頷く。 やべ、マジで可愛すぎるんだが。 「泣かされたら俺に言えよ。」 「いや、山吹だけには言うな。つうか、泣かせねーし。」 キャー!!と、また女性陣が声をあげる。 「んなこと言って、分かんねーぞ、こいつは。なんせ今までが今までだし?傷つけられる前にやめといた方がいいかもよー?」 山吹め、マジでこいつ絞める。 俺の横から乗り出して那紬に余計なことを吹き込む山吹の首に、手を伸ばしかけたところで那紬の柔らかく控えめな声が届いた。 「……んー、傷つけられたとしても、泣かされたとしても、それでも私はさ、遥臣がいいんだよねー」 思わず那紬の方を振り向くと、頬を赤く染めて目尻を下げ、ふふっと微笑むその姿が、もうマジで天使みたいで、可愛くて愛おしくて、一瞬周りに人がいるのを忘れて抱きしめてしまいそうになる。 刺さった…今のは、マジ刺さった…。 山吹も、周りにいた女子たちも、一瞬言葉を失って、冷やかしとも呆れるのとも違う、なんとも言えない空気がその場を包み込んだ。 三倉だけは、やれやれって顔で肩をすくめてる。 「…え、あれ?私、変なこと言ったかなぁ?やだ、酔っちゃったかも、ふふっ」 ああああああああ!マジで、今すぐ連れて帰っていいっすか!?
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

263人が本棚に入れています
本棚に追加