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「那紬…それはダメだよー。傷付けたら即別れる!とか言っておかないとー!」
「そうだよ那紬ー!それ、一歩間違えたら都合のいい女にされるヤツじゃん!」
心配げに忠告する女性陣に、えー、そうかなぁ?なんて、ほわんと少し照れたように笑う那紬。
いや、マジで。
なんなのこの、殺人的な可愛さ。
「……片瀬、つうかそれ、既に散々泣かされたってことじゃねーの?」
「えー?それは…どうでしょー。」
そう言いながら横目で俺に視線を送り、肩を竦めてみせるその仕草もまた、たまらなく可愛い。
「比嘉、お前……」
物言いたげに目を細めて俺を睨む山吹に、
「うるせーよ、過ぎたことはまあ…もう、どうしようもねーだろ。だけど、これからは傷付けたりしねーよ。絶対に。」
と、真面目なトーンで返す。
こればっかりは、これから俺の行動で証明してみせる他ない。
那紬の方に顔を向ければ、頬をほんのり染めて女神みたいな微笑みを浮かべ、酔って潤んだ瞳と視線が絡まり合う。
あー、マジで、無意識に理性をぶち壊しにくるの勘弁してくれ。
今すぐ押し倒したい衝動にかられるのを、必死でなけなしの理性でせき止める。
「でもさー、那紬がそんな事言うなんて…本当に好きなんだね、比嘉の事。」
ん?
「確かに。那紬って自分の恋愛の話ほとんどした事なかったもんね…彼氏いた時も、惚気も愚痴も聞いた記憶がないもん。」
「うんうん、恋愛に対してクールっていうか…淡白なイメージだった。」
……確かに、俺も那紬はそういうタイプだと思ってたな、最初は。
「俺が、那紬を変えたってことか…」
「うわ、何だよコイツ、ニヤけて…マジでキモっ、つうか、ムカつく…」
「あー?うるせーよ。」
「でも、それを言うならあの比嘉を変えた那紬の方がすごいよね。恋愛も結婚もしないって公言して、堂々と遊びまくってたあの比嘉だよー?どれだけの女の子達を泣かせてきたか…」
「だよねー!」
「……お前らディスりすぎ…」
「だって本当の事じゃーん!」
本当の事とは言え、那紬の前でこれ以上はやめてくれ…
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