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一章 絶望の炎
───真っ黒な空に手を伸ばした。
空からは無数の雨が降り注いた。
徐々に指先の感覚がなり、体が動かなくなる。
(馬鹿みたい)
まるで、初めからここに居なかったみたいだ。
今でも耳に届く煩わしい笑い声と下劣な態度。
(こんな世界、大っ嫌い……)
どれだけ羨んでも、妬んでも、いくら願っても、お姫様になれやしない。
(…………私は、透明だ)
誰も私が見えない。
誰も私を必要としていない。
誰にも受け入れられない。
「まだ居たの?」「邪魔」
そう言われて、私は私を嫌いになってしまう。
(だけど本当は…………)
私は自分を見て欲しい。
私は誰かに必要とされたい。
私を受け入れて欲しい。
一度でいいから「貴女が居てくれて本当に良かった」と、言って欲しかった。
(……どうして、こんな風になってしまったんだろう)
苦痛からか、悔しさからか……徐々に視界が歪んでいく。
熱い涙が頬を伝って落ちていった。
(悲しい、苦しい、辛い……嫌い、嫌い、全部消えてなくなればいいのに)
そんな想いから、何もかもから解放されるのならば……こんな結末もいいかもしれない。
(ばいばい……大っ嫌いな私の世界)
眠るように瞼を閉じた。
最後に見たのは真っ赤に燃える自分自身だった。
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