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シャルロッテは痛む体を起こして、髪を纏めるためにひび割れた鏡へと足をすすめた。
鏡に映るのは伸びっぱなしでボサボサな白色の髪も透き通るような赤色の瞳だった。
ガサガサの唇。異様に白い肌のせいで目の下の隈が目立つ。
どれも両親から受け継いだ色ではなかった。
物心ついた頃から『呪われた子』『悪魔の子』と、そう呼ばれていた。
何故自分がそう呼ばれているのか、それすら理解出来なかった。
それが発端かは知らないが、他の姉妹達と違ってシャルロッテはずっと虐げられてきた。
両親に触れた事も、笑みも向けられた事もなかった。
その理由は容姿以外にもあった。
この『ガルシア王国』の貴族が魔法を使う国だからだ。
貴族ならば誰もが使えるはずの『魔法』をシャルロッテは使うことが出来なかった。
もしもシャルロッテが魔法使えるようになったなら、あの二人のように愛されるかもしれない。
しかし何度も何度も力を込めても何も起こらない。
姉も妹も当然のように魔法を使えたのに、シャルロッテだけは何も出来なかった。
『役立たず』『ディストン侯爵家の恥晒し』
そんな名前で侍女達や家族から罵られることにも慣れていた。
幼い頃から物置きのような暗い部屋の中にずっと閉じ込められて育てられていた。
たまに部屋に入ってくる侍女達が最低限の食事を持ってくる。
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