一章 絶望の炎

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固いパンと水、野菜の切れ端……部屋の外に出るまでは、それが当たり前だったし、シャルロッテにとっては全てがご馳走だった。 掃除や世話などのを嫌々ながらしては、シャルロッテにストレスをぶつけるように横暴に振る舞うとスッキリした顔で去っていく。 屋敷で働く者達からも冷めた視線で向けられて馬鹿にされていたように思う。 「どうせ旦那様達にはバレはしない。バレたところで……ねぇ?」 「アンタは必要とされていない。このゴミと一緒ね」 そんな言葉を聞く度に自分がいらない存在だと思えた。 いつも姉のハリエットと妹のイーヴィーが綺麗なドレスを着て、外で楽しそうに遊ぶ姿を部屋の小さな窓から食い入るように見ていた。 どんなに外に出たくとも、扉には鎖が巻かれて鍵が掛かっていた。 窓も小さく上階に部屋がある為、抜け出すことは出来なかった。 この部屋の中が、シャルロッテの小さくて大きな世界だった。 (羨ましい……) 綺麗なドレスも紅茶も美味しそうなお菓子も、楽しそうな笑い声も全部全部、シャルロッテには与えられることはなかった。 両親からシャルロッテは「顔を見せるな」「声を出すな」と言われいるのに、姉妹達は宝物のように扱われている。
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