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確かにこれですべてが揃ったということだ。でも、だからどうしたという気持ちではある。確かにたまたまの偶然にしては珍しいめぐり合わせではあるだろう。
全部揃った時に少し面白がる気持ちも理解できる。しかし、それはそれだけの話しではないだろうかと陽太郎は思う。花音の名前が直に対する嫌がらせの動機になるとは思えなかった。
この線から花音の動機を探るのは難しいなと他に何か手がかりがないかと考えて顔を上げた時、あきらが目を見開いて驚いていた。あきらがこんなに驚くのは珍しい。何かそんなに驚くことがあっただろうか。
「花音の旧姓を三井といったか?」
確認するようにあきらが聞き返してくる。陽太郎は九十九が調べてくれた情報をもう一度確認するためにスマホの画面を確認する。間違いなく旧姓は三井となっていた。
九十九がこの手の調査を間違えるとは思えなかったので、間違いないだろう。
「確かに三井だよ。数字の三に井戸の井で三井。別に珍しい名字でもないと思うけど?」
「花音が子供の頃に住んでいた住所は分かるか? どうせ調べてあるんだろう?」
「……埼玉県の狭山市だね」
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