第五章 犯行動機

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「結局、女の方の犯人が男を止めて家から逃げ出していった。最後まで直の存在には気が付かなかったらしい。ずっと震えていた直は押し入れの中から出ることすらできずにうずくまっていたらしい。どれぐらい押し入れの中にいたのかはわからない。ただ、突然お父さんとお母さんを助けなきゃと思ったらしい。本当はすぐにでも助けに動くべきだったと直は後悔していたよ。たとえすぐに動けていても両親は助からなかったとしても。って寂しげに言っていた。  押し入れから出た直は必死になって体中から流れている母親の血を止めようとしていたらしい。らしいというのは本人もその時の記憶はほとんど残っていなかったようだ。夜になった頃に、直の祖父母が家にやってきた。その日は離れて暮らしていた祖父母と一緒に直の誕生日を祝う予定だった。買い物に出かけていたのも誕生日パーティのための食材を買いに行っていたらしい」
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