第五章 犯行動機

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「家に入った祖父母は血溜まりの中で父親と母親の傷口にタオルや包帯を何度も何度も泣きながら巻き付けている直を発見した。その時には両親はとっくに亡くなっていたけどね。驚きに立ち尽くす祖父母を見て直はお父さんとお母さんの血が止まらないのって泣きながら訴えていたそうだ」  その時の直の気持ちは想像を絶するものだっただろう。その気持は想像もできないし、その辛さを分かってあげようとすることすら傲慢に感じられた。 「犯人は捕まったの?」 「ああ。すぐに捕まったよ。犯人たちも衝動的にやった犯行だったから証拠は残っていたし、警察もその地域で頻発していた窃盗事件で警戒していからな。犯人は同じ県内にすむ夫婦だった。埼玉県内のあちこちに出向いては行く先々で窃盗を繰り返していたらしい。夫が仕事をリストラされたことで生活が苦しくなった時に仕方なく盗みに入ったのが最初らしい」
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