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第六章 そして誰もいなくなる
「ねぇ。もう終わりにしよう」
花音が瞬と岳人を交互に見つめてから言った。
「……どういう意味だい?」
岳人が怪訝そうな顔をして聞き返す。
「もう、こんなゲームは終わりにしたいって言っているの」
「そりゃあ。僕だって終わらせたいとは思っているけど」
止められるものなら、すでに止められていると言いたげな顔をする。
「ごめん。言い直すよ。もう。終わらせた」
「え? 何を言っているだい?」
「岳人が今、飲んだコーヒーに毒を入れたんだ」
花音の言葉に岳人の表情がこわばる。
「なんで……っ」
「……これでいいんでしょ? 瞬」
花音が瞬を見つめて確認するように言う。瞬はただ、黙ったまま腕を組んで黙っている。
「一体……何を言っているの? どういうことだよ瞬!」
珍しく岳人が慌てたような声で声を荒げる。
「瞬が、終わらせようって言ったんだよ。犯人は瞬。君なんだよね」
確認するように聞く花音の言葉を聞いているのか聞いていないのか瞬は黙って黙したままだ。
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