第六章 そして誰もいなくなる

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「加奈も直を殺そうと思っていたわけじゃない。ちょっと苦しめる程度の嫌がらせのつもりだった。だから毒キノコもほんの少量しかいれていなかった。でも、不幸な偶然が重なって直は死んでしまった。  あの日、天候が悪くならなければ。遭難しなければ。加奈が低体温症にならなければ。夏が体調を崩さなければ。岳人が直の症状を中毒症状だと診断できていれば。瞬はドクターヘリを山小屋へ迎えに行かせた。私が。加奈が毒キノコを入れていたことを見逃していなければ……。どれか一つでも重ならなければ直は今も生きていたんだと思う。でも結果として直は死んでしまった。瞬はそれがゆるせなかったんだ」  全てを理解していて瞬の心の代弁をしていると加奈は自信ありげに語っていた。 「瞬はこのゲームであの日の真相に気がついた。加奈の日記を読んだ時にきがついたんだと思う。真相を知って、全員が許せなかった。だから、全員に復習しようと思ったんでしょ」 「そんな馬鹿な話ないでしょ。それじゃ、花音。君だって直の仇じゃないか」  震える声で岳人が指摘する。花音は小さくうなずく。 「そうだよ。でも、私は許して……」
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