第六章 そして誰もいなくなる

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「どうして……俺が犯人なんだ……」 「俺が犯人じゃないからだよ。俺が犯人じゃないんことは俺自身がよく知っている。なら残ったもう一人のお前が犯人ということじゃないか」 「その理屈で言えば、僕は自分が犯人じゃないことを僕自身がよく知ってる! お前こそが犯人じゃないか」  岳人が胸元を掴んだまま叫ぶと、瞬はその手を強く握って言い返す。 「落ち着けよ。分かってるさ。最終確認がしたかっただけだよ。お前が犯人だということは明確なんだ」 「どういうことだよ」  瞬はポケットから封筒を取り出して岳人に差し出す。 「これは何だよ」 「読んでみれば分かる」  岳人は封筒を受けとって、中の手紙を読み始める。読み進める度に顔色が青ざめていくのが瞬の目からみても分かった。 「夏は、加奈殺しの方法を解き明かしていた。そこには誰にでも犯行は可能と書かれている。でも、もう誰が犯行におよんだかは明らかだろう?   加奈は被害者だから論外だ。夏も犯人ではないだろう。犯人ならそんな手紙を残すはずがないからだ。犯人は花音か岳人、もしくは俺の誰かだろう」
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