第六章 そして誰もいなくなる

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「たしかに、加奈の犯行だけでは誰が犯人かは特定することができない。なら、夏の事件はどうだろう? 夏は自分の部屋で殺されていた。部屋の鍵は掛けられていて鍵は部屋の中にあった。密室殺人だ」  夏の死に様を思い出したのか岳人が苦々しく顔を歪める。 「この殺人を行ったのが岳人。お前なんだよ」 「どうして、僕が夏を殺さなくちゃいけないんだ! 夏は。僕の恋人なのに……」 「そうだな。本当に残念だよ。でも、動機は単純だよ。加奈の殺人を夏に見破られたからだろう。夏は、おそらく犯人をお前だと特定していたんだろう。それは、お前の態度からだったのからかもしれないし、彼女の勘だったのかもしれない。明確な証拠はなくても彼女にとってお前が犯人だということは確信していた。だから、お前に話をしにいったはずだ。  犯人として指摘するために。お前を止めようとしていたんだろうな。ゲームの中とはいえ、人に脅迫をしているのは事実だからな。それに万が一にでも本当に人が死んでいるかもしれないと考えたら夏は問い詰めざるを得なかったんだと思う」
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