第六章 そして誰もいなくなる

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「俺たちに話さずに二人きりで話し合いをしにいったのは、きっと彼女なりの愛だったんだろうな。恋人を自分の手で止めたいという。でも、お前はその気持を踏みにじった。犯人として指摘されたお前は口封じのために夏を殺害したんだ。夏に呼び出された時点でお前は夏を殺害することを考えていたからナイフを持って部屋に行ったんだろう」  瞬を睨みつけながらも岳人はただ黙って聞いていた。 「夏を殺したのが僕だっていう証拠はないだろう? それこそ花音だって可能だったはずだ。彼女は僕に毒を飲ませて殺そうとしていたんだ。花音は君が直の仇を討ちたいと考えていると思い込んでサークルメンバー全員を君に代わって殺そうとしていたんだから」  少し落ち着いたのか岳人はゆっくりとした口調で瞬を問いただす。 「……それはない。ないんだよ岳人」 「どうして?」
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