第六章 そして誰もいなくなる

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「夏が殺されていた部屋が密室になっていたとさっき言ったよな。密室を作ること事態は不可能じゃない。加奈の時と同じ方法を使えばいいだけだからな。夏に会いに行く前に隠し部屋、C館の部屋の一つの窓を開けておいて加奈の部屋にロープとかを隠しておけばいい。夏を殺害した後に加奈の部屋の窓からロープをC館に渡して渡ればいいんだからな」 「そんな方法は花音にだってできたはずだ」 「……不思議に思わないか?」  突然言った瞬の言葉に岳人は怪訝な顔をする。 「どうして、密室にする必要があったんだ? 加奈の時は不可能犯罪をしてみせることで恐怖を煽ったり、犯人が誰かわからないようにするために意味があったかもしれない。でも、夏の時は違う。不安なんて加奈の時点ですでに感じているし、夏が死んだ時点で犯人は自分の除けばもう二人に一人だ。わざわざ密室にする意味があるとは思えない」 「……そんなの知らないよ……」 「だから、考え方を変えてみたんだ。密室にしたかったわけじゃなく、するしかなかったんじゃないかってな」 「どういうこと?」
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