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「わーい!束縛彼女の末路書けたー!」
私は投稿ボタンを押そうとした。
「あれっ?これじゃ耳鳴りの伏線回収してない。どうしよう?」
まずこれがどんな伏線だったかも忘れたのだが。頬杖をつく。今まで書いたデータと睨めっこしながら校正作業をする。そして、私の耳に覚えのない声が入ってきた。
『ねぇ、君に会いに来たの。ねぇ、気づいてよ。こっち見てよ。ねぇってば!』
うるさいな。なんでこんなにうるさいの?キーボードを忙しなく打っているとまた聞こえてきた。
『ねぇ、気づいて。お願い。気づいてよ。気づいてってばぁ!』
うるさい、うるさい、うるさい!黙って!黙れ!
私はイラつきで台パンした。そして、我に帰る。何やってんの私?ちょっと頭冷やそう。
顔を洗う。少し目が覚めたかな?顔を上げてみると。
『やっと、気づいたぁ?』
あの束縛女の顔が…。
おかしい、おかしい、おかしいって!
とても細い指が私の頬を撫でる。
『ねぇ、会いに来たよ。だーいすきな君のために。』
とても静かに、かつ、響く声で私に囁く。怖くて震えが止まらなかった。
『私を生み出してくれてありがとう!今からあのユウトに会いに行くねぇ!』
私は少しコクリと首を縦に振った。あの話は現実にはない。それなら、勇人もいない。なら、まさか…!
『行ってきまぁーす♡』
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