1日目 前半

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「僕、こう見えても、霊感が強いんです。空気が澱んでいるみたいな...」 「気のせいじゃありませんか?」 「いや。確信をもって言えます」  コトリはため息をついて、辺りを見回した。確かに、出席者は小栗真子を除いて、一癖もありそうだ。御堂筋先生は無作為に選んだと言っていたが、実は敵を集めることで、何かを画策しているのではないか?疑えば疑うほど、心が汚れていく。 「だって、さっき、ルポライターの人から聞いたんですが、御堂筋先生は今夜、誰かに殺されるって、占ったそうですよ」  あの、おしゃべりなルポライターめ。みんなを不安にさせて、どうするんだ? 「その話って、どこまで本気にしていいのか...。でも、占いって、他人のことは占えても、自分のことは占えないって聞きますけど...」 「どうなんでしょう?自分のこと、占えれば、不動産投資で失敗するなんて、ないと思います」  そこへ、木原が割って入ってきた。 「楽しいおしゃべり、わたしも混ぜてほしいな。茂原さんの言う通り、占い師が自分のことを本当に占えれば、すべての占い師は成功しています。約半分は廃業していることから、占いなんて、当たればいいみたいなものです」  木原は鼻で木を括るように言った。  そこへ、コトリはもの申した。 「占いを悪く考えるのはどうでしょうか?占いって、希望を与えてくれるんです。占い師が真摯に耳を傾けてくれて、的確なアドバイスをする。それって、心理カウンセラーが乗る相談と変わりがないと思います。それをまるで、ペテンのように見る。あなたの姿勢の方が問題です」  まるで、水戸黄門の印籠のような言葉。だが、木原はまったく意に介さない。
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