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「お嬢さん、占いとカウンセリングをいっしょにしないでほしいね。心理カウンセラーは免許がないとできない。つまり、国家試験をパスして、国のお墨付きの免状を手にした者だけができる。それに引き換え、占い師には国家が認めた免状がない。つまり、誰でもそれらしく、振る舞えるってことだ。裏を返せば、ペテン師にもなれる。法律で罰せられないという免罪符だけは持てる。気楽な商売だよ」
木原は気楽な商売という部分を強調した。
尾形くんもそうだけど、男性陣は皆、占いと聞くと、悪く言う。占いに恨みでもあるのか。
「あのう...。もし、もし、仮に、彩夢先生が今夜、殺されるようなことがあったら、わたしたちが犯人扱いってことになりませんか?」
茂原は蒼ざめた顔をした。
「なんだか、昔、参加した謎解きツアーみたいですな。この会も、本当の目的が謎解きをして、犯人当てた人に、相談料無料の特典を与えるとか?」
木原はにやにや笑っていた。コトリは咳払いをする。
「実は、わたし、こう見えて警察官なんです。事件なんて起きたら、たまりません。プライベートくらい、平穏でいたいです」
「でもさあ。コトリちゃん、が行く先々で殺人が起きるんだよなあ。ほら、この間、山に山菜採りに入った時も、死体とご対面だったじゃない」
尾形くんが唇にケーキをつけながら言った。
「尾形くん、ケーキついてる。あ、皆さん、わたしは警察官ですけど、決して死体は呼び寄せませんから」
「あ、思い出した。先日、ラジオ局の生放送番組、ワンダフルナイトに出てましたね。わたし、聴いてましたよ」と茂原が指をさす。
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