19人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、真子は意外そうな顔をした。
「え、コトリさん、わたしとタメかと思いました」
「あ、よく女子大生と間違われます。単に幼く見えるだけです。でも、これって、仕事では役に立つ時があるんです。制服着て、女子高に潜入しても違和感ないし、怪しまれないので」
「仕事で?え、スパイとか?」
「ここだけの話し、わたし、警察官なんです」
またしても、真子は驚愕の表情を浮かべた。やはり、人間はギャップには免疫がないのだろう。
時計の針が3時を示した。2階から黄金色の衣装を纏った御堂筋彩夢先生が降りて来た。煌びやかという印象が強い先生は、金色に執着しているように見えた。派手な衣装に負けず劣らず、私生活も派手だという噂があった。
木原は親の仇にでも会ったような表情をした。
もしかすると、この中に御堂筋彩夢先生を快く思っていないゲストが紛れ込んでいるかもしれない。たとえば、尾形くんだってその一人だ。
「あれが金満だらけの占い師かあ。聞きしに勝る姿だなあ。あの衣装って、結局はぼったくった相談料から...」
コトリは尾形くんのつま先を踏みつけた。尾形くんは痛い!と悲鳴をあげる。
「静かにして」
「コトリちゃん、乱暴だなあ」
隣の真子さんはまるで、韓流スターに会ったような、恍惚とした表情を浮かべている。少なくとも、彼女は先生の敵ではない。
御堂筋先生は七人の招待客を睥睨した。先生が登場するだけで、場の空気が一変する。やはり、人気占い師だけある。貫禄は十分だ。確かに、御堂筋先生のスキャンダルなら、マスコミは飛びつく。下手したら、そこらの政治ネタよりも、ニュースバリューはあるかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!