8人が本棚に入れています
本棚に追加
━━━━━━━━━━━━━━━
「.......さま、フワ・リーヌさまぁ!!あっ!!目覚められた!ルイーズ、飲み物を!」
目を開くと赤い天井が、見えて、声のするほうをみると4人のメイド服。
メイド服?!
「アン、こ、これでいいかなぁ?リーヌ様が好きなのレモンティーでしたよね?」
オドオドしながら、不安そうな上目遣いでいまにも紅茶を零しそうな茶色のボブヘアのメイドが、アン、と呼ばれた青い髪のストレートヘアの賢そうなメイドから注意を受けている。
「ルイーズ、しっかりして!んもう、おっちょこちょいなんだから。エマ、ねえ、まさかあなたアップルパイ食べちゃったんじゃ…」
今度はエマ、と呼ばれた黒髪のまとめ髪のぽわ〜とした、抜けている雰囲気のメイドへ矛先が向いている。
あれ?この光景、どこかで。
ゲーム、乙女ゲーム、の。
「ええ〜堪忍ですぅ。おなかすいてもぅて。ごめんなさいいい」
「あの、ここは?ここはどこ?病院じゃないの?」
「あ、申し訳ありません。あちらにいるのが右からアン、ルイーズ、エマです。私がレベッカです。本日から暫く担当になります。夜中に盗賊から撲殺されかけたのですよ、フワ・リーヌ様は」
目を見張る。この4人の中でメイドとは思えぬ美少女、レベッカ。赤い綺麗なロングヘアが印象的だ。
たぶん、この4人のリーダーだろう。
「そ、そうだわ。ルイーズが」
そう、このオドオドしたルイーズにフワ・リーヌは紅茶をかけられたことで、当たり散らし、恨んだルイーズからの密告で国外追放されるのだ。
よ、よりによってヒロインじゃなくて、
悪役令嬢フワ・リーヌのほうに、転生してしまっている。
「あっ、も、申し訳あ…あああ!」
紅茶を零しそうになるのを、私はバッと起き上がり、受け止めた。
「気、気をつけて。ルイーズ。危ないわ。火傷、するところよ。本当に、気をつけてね」
4人のメイドたちが、静止、した。
「きいてたんと違う。お優しいかたやわぁ」
エマの気の抜けた返答に、脱力してしまいそうだ。
「あ、あの、怒らないのですか?リーヌ様。私、紅茶をかけそうになったのに。」
いまにも泣き出しそうなルイーズに
「ルイーズ、落ち着いてやれば大丈夫よ。少しでも仕事覚えてほしいわ。私のために、ね?」
にこっと微笑んで、ルイーズの肩に手をおいて労ると、ルイーズは耳まで紅くなった。
「はっ、はい。リーヌ様。も、もち、ろんです。私でお役に立てるなら喜んで」
と、とりあえず、国外追放のフラグは回避したはず、とりあえず。
最初のコメントを投稿しよう!