脚本家シルク、爆誕

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 …カシミヤ。  雨の日に私に言い残したカシミヤの言葉が私の口の動きを止める。 私の物語に感動してくれた彼の姿が一気に頭の中に流れて、断ろうとしていた私がその場に踏みとどまる。 そして、心の中でもう一人の自分が言葉を投げかけた。 …ここで断ったら、何にも成長できない気がする。  そうだ、私はアンナの前で家族の使命を果たすために沢山笑って幸せに生きると決めたんだ、もう自分をいじめないと誓ったんだ。 だから、自分が好きなことを肯定して伸ばしていかなきゃだめなんだ、たとえ失敗に終わったとしても道があるならもう立ち止まらない……! 「…。」 「シルク。」 「シルクちゃん…。」 「無理だとは思いますけど、…こんな私でよければ、頑張ります。」  そう言って挑戦を決めた瞬間、目の前が不思議と明るくなった気がした。
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